配達員をやっているとふと思うことがある。
同じ荷物一個でも、届ける難易度はまったく違うことがある。
当たり前といえば当たり前なのだが、これがなかなか奥深い。
例えば、普通の戸建て住宅。
家の前に車を停められて、玄関まですぐ。インターホンを押して、お客さんが出てきて荷物を渡す。
これならスムーズだ。はい次ってなる。
もちろん、荷物を届けるという仕事に変わりはない。ただ、余計な手間が少ない。
では、これがオートロック付きのマンションだったらどうだろう。
まずはエントランスでインターホンを押す。応答を待ち、オートロックを開けてもらう。そこからエレベーターに乗って、指定された部屋まで向かう。
ようやく部屋に着いても、必ずしもすぐに荷物を渡せるとは限らない。
不在なら、また戻らなければならない。
マンションの構造によっては、エレベーターがなかなか来ないこともあるし、入口から部屋までが遠いこともある。
同じ荷物一個でも、戸建てに届ける場合とはかかる時間が違う。
さらに、駐車場所の問題もある。
家の前に停められる場所ならいいが、車を停める場所がない住宅街や、駐車スペースのないマンションもある。
少し離れた場所に車を停めて、荷物を持って歩かなければならないこともある。
荷物を渡すまでの時間だけでなく、車から届け先までの移動時間も必要になるわけだ。
こうして考えると、配達員の仕事は単純に荷物を運ぶだけではない。
荷物を積んで、車を走らせ、停める場所を考え、建物に入り、届け先を探し、ようやく荷物を渡す。
その一連の作業があって、初めて配達完了となる。
しかも、これを一日に何十件、何百個と繰り返す。
一件あたり数分の違いでも、積み重なれば大きな差になる。
例えば、ある配達先ではすぐに荷物を渡せる。一方で、別の配達先では駐車場所を探し、建物の中を移動し、ようやく届けられる。
荷物の個数だけを見ていると、どちらも同じ一個だ。
でも、配達員からすれば同じ一個ではない。
だから、配達の忙しさを荷物の個数だけで判断するのは難しいと思う。
もちろん、配達先の条件だけですべてが決まるわけではない。荷物の大きさや重さ、時間指定、道路状況、不在など、いろいろな要素が関係してくる。
それでも、届け先の環境によって負担が変わるのは間違いない。
個人的には、配達という仕事のマニアックな部分は、こういうところにあると思っている。
お客さんからすれば、注文した荷物が届けばそれでいい。
わざわざ配達員がどこに車を停めて、どれだけ歩いて、何回エレベーターに乗ったかなんて気にしないだろう。
もちろん、それでいいのだ。
こちらは荷物を届けるのが仕事なのだから。
ただ、配達員をやっていると、街の見え方が変わる。
住宅街を走っていても、車を停められる場所が気になる。マンションを見れば、入口や駐車スペースが気になる。
普通に生活していたら何とも思わない場所でも、「ここに配達するのは大変そうだな」と考えてしまう。
職業病というやつだろう。
荷物は一個。
でも、その一個を届けるまでに必要な手間は、届け先によって大きく違う。
配達員の仕事は、案外そういう小さな違いの積み重ねでできている。
明日もまたいろいろな場所へ荷物を届ける。
できれば、車を停めやすくて、入口が分かりやすくて、すぐに荷物を渡せる場所が多いとありがたい。
……まあ、そんな都合のいい配達先ばかりなら苦労しないんだけどね~(笑)。

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