もうすぐ、一年で一番忙しい時期がやってくる。
そう、年末の繁忙期だ。
配達員をやっていると、年末が近づくにつれて少しずつ憂鬱になってくる。
世間ではクリスマスや年末年始に向けて盛り上がっている時期だが、こちらとしては素直に楽しめない。
「今年もあの時期が来るのか…!!!」
そんな気持ちになる。
ただ、実際に現場で働いていると、少し意外なことがある。
世間がイメージする年末の忙しさと、配達員が感じる忙しさは、必ずしも一致しないのだ。
もちろん、12月後半も忙しい。
おせち料理などの配達が増えるし、年末ならではの荷物もある。
ただ、通常の陸便がとにかく大量に増えて、毎日とんでもない物量になるかというと、自分の感覚では少し違う。
では、一年で一番忙しいのはいつなのか。
自分はブラックフライデーの時期だと思っている。
ブラックフライデーといえば、ネット通販などで大規模なセールが行われる時期だ。
消費者にとっては、欲しかった商品を安く買えるうれしいイベントなのだろう。
しかし、配達員にとっては話が違う。
とにかく荷物が増える。
体感では、普段の1.5倍から2倍近く宅配が増えるようなイメージだ。
もちろん、担当エリアや年によって違いはあると思う。それでも、自分が現場で感じる負担は相当なものだ。
普段ですら一日中走り回っているのに、そこへ大量の荷物が追加される。
当然、いつも通りに配り終えるのは難しくなる。
そうなると何が起こるのか。
夜間配達である。
この時期は、毎晩のように夜間配達になることも珍しくない。
日中に配りきれなかった荷物を抱え、時間指定の荷物も気にしながら、最後まで配達を続ける。
ようやく仕事が終わったと思った頃には、もういい時間になっている。
それが一日だけなら、まだ何とかなる。
問題は、それが何日も続くことだ。
一日頑張れば終わり、というものではない。
翌日も荷物はやってくる。
そして、その翌日も。
こちらが疲れていようが、昨日遅くまで働いていようが、荷物が勝手に減ってくれるわけではない。
これが繁忙期のつらいところだと思う。
しかも、ブラックフライデーのセールは消費者にとっては楽しいイベントだ。
安く買えるから商品を注文する。
便利だから自宅まで届けてもらう。
もちろん、それ自体は何も悪いことではない。自分だってネット通販を利用することはある。
ただ、その便利さの裏側では、荷物を仕分けする人がいて、トラックに積み込む人がいて、最後に玄関まで届ける人がいる。
そして注文が集中すれば、その分だけ現場の負担も増える。
普段なら問題なく終わる仕事量でも、荷物が一気に増えればそうはいかない。
配達員だって人間なので、無限に荷物を配れるわけではないのだ。
だから、自分はブラックフライデーの時期が近づくと、どうしても憂鬱になる。
おそらく、同じように感じている配達員は自分だけではないだろう。
世間がセールで盛り上がる裏側で、今年も大量の荷物を運ぶ人たちがいる。
そう考えると、ブラックフライデーの見え方も少し変わるかもしれない。
とはいえ、セールがなくなるわけでも、荷物が減るわけでもない。
今年もきっと、夜まで配達する日が続くのだろう。
配達員にとっては、年末のカウントダウンよりも、ブラックフライデーのカウントダウンのほうがよっぽど恐ろしい。
今年も何とか乗り切るしかない。
……できれば、ほどほどの物量でお願いしたいところだ。

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