毎年この時期になると、配達する荷物にも夏を感じる。
スポーツドリンクやミネラルウォーター、お茶などを企業へ大量に届ける日が一気に増える。
何ケース、何十ケースと運ぶことも珍しくない。
配達先のお客さんに「こんなにたくさん買うんですね」と聞くと、
「従業員の熱中症対策で配るんですよ。」
そんな返事が返ってくることがよくある。
正直、めちゃくちゃうらやましい。
もちろん会社によって違うだろう。
会社の経費なのか、社長のポケットマネーなのか、自分には分からない。
でも、従業員のために何かしようという気持ちは伝わってくる。
一方、自分の職場はというと…。
特に何か支給されるわけでもない。
熱中症対策は基本的に自分でやる。
会社から言われるのは、
「熱中症に気をつけて。」
それくらいだ。
もちろん間違ったことは言っていない。
熱中症にならないように気をつけるのは当然だ。
でも正直、「気をつけろ」で防げるなら誰も苦労しない。
炎天下で何時間も配達をしていると、飲み物を飲んでも追いつかないくらい汗をかく日もある。
荷物を持って走り回り、トラックを乗り降りし、アスファルトからの照り返しを浴びながら一日中動き続ける。
気温が35℃を超える日なんて今では珍しくもない。
荷台の中はさらに暑い。
少し動いただけで全身汗だくになる。
それでも荷物は待ってくれない。
時間指定もある。
配達を止めることもできない。
だから「気をつけろ」と言われても、現場ではどうにもならない場面もある。
もちろん自分でも対策はしている。
スポーツドリンクを持っていく日もあるし、塩分タブレットを食べることもある。
少しでも日陰があればそこで水分補給をする。
でも、それは全部自腹だ。
だから配達先で「従業員に配るんですよ」と言われるたびに、「いい会社だなあ」と思ってしまう。
飲み物一本でも、働く側からすると結構ありがたい。
金額の問題じゃない。
「会社が自分たちのことを考えてくれている。」
その気持ちが伝わるだけでも違うと思う。
最近は「人を大切にする会社」という言葉をよく聞く。
もちろん簡単なことではないと思う。
会社にも事情はあるだろう。
でも毎年のように猛暑が続く今、現場で働く人にとって熱中症対策は贅沢ではなく、安全のために必要なことだと思う。
「熱中症に気をつけて。」
その言葉ももちろん大切だ。
でも現場で働く人間としては、その言葉にもう一歩踏み込んだ対策が増えてくれたらうれしい。
今年の夏も、たぶん猛暑になる。
だからこそ、自分の身は自分で守りながら、今日も配達に向かおうと思う。

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